フィールドノート(民俗野帖)

「研究ノートと書評」改め

久高殿(くだかとぅん)

久高殿 バイカイヤー
「 集落の北側にあり、久高島の祖先百名白樽(ひゃくなしらたる)とその娘久高島ノロが天地の神々を祀って、島の繁栄を祈ったところとされている。また、久高島ノロと久高根人(ニーチュ)が祭主となって外間殿と同様に年中行事の『七つの祭』・『イザイホー』の神事が行われるところである。
 シラタル拝殿、神アシャギ、バイカイヤー(イラブーの燻製所)が横一列に並び、全面は広場となっている。広場を横切るように車輪跡のくっきり残る生活道が走り、とりまくように民家が軒を並べている。背後には古木大木が濃い陰をつくる森がひかえる。森は『イザイ山』とよばれている。
 濃い緑と赤瓦と純白の漆喰が青空に映え美しいたたずまいを見せるが、古琉球における祭祀の名残をとどめるといわれるイザイホーの神事が行われる祭場としてのイメージは陰をひそめている。
 シラタル拝殿は『久高島由来記』の伝える久高島の祖先百名白樽と娘の久高島ノロが天地の神々を祀って、島の繁栄を祈ったところだとされ、島外からの参詣者も多い。
 神アシャギはシラタル拝殿とバイカイヤーにはさまれるようにして建っている。イザイホーの神事の行われるさいは、周囲をクバの葉でおおい、その入口には七つ橋がつくられる。イザイホーの初日に行われる『夕神遊び(ユクネーハンアシビ)のとき、ナンチュたちは七つ橋を渡って神アシャギに入る動作を7回繰り返すといわれる。そのとき、ナンチュたちは無我の境地にいたり、神のセヂが乗りうつり、神人(カミンチュ)になるといわている。そして、七つ橋渡りの儀式が終わると、ノロ以下の神女たちは神アシャギに入り戸を閉め、一瞬の静寂の中で『ティルル』を唱和するという。御殿庭(ウドゥンミャー)とよばれる前の広場は、踏みつぶされた雑草のめだつ変哲もない空き地である。しかし、『エーファイエーファイ』の激しいかけ声の連呼と手拍子で大地をたたきつけるように足早に神女たちがかけ込んでくるとき、一瞬にして御殿庭は厳粛な霊場に変わる。そして、イザイホーのさまざまな神事の行われる祭場となる。
 緑深い背後の森、イザイ山は、七つ橋渡りの儀式を終えたナンチュたちが三日三晩山籠りする聖なる杜である。そこにはナンチュたちが籠もる『七つ家』がつくられる。」(『沖縄の聖地』P61~63)

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